法政の逆襲19〜〜

一方 京大軍内部
 同志社に詰め寄る東海国立の姿があった。

同志社「ICU……」
静岡「あ、同志社さん! ICUさんが出撃したって本当ですか!?」
三重「しかも、ひとりで!」
同志社「ああ…」
岐阜「どうしてそんなことに!」
愛教「同志社さんは、なぜ何もせずにここにいるのです!?」
同志社「俺にはどうしようもない…。京大様の命令だからな…」

同女「同志社さん! そんな弱気でどうするのよ!」

 柱の影(笑)から立ち聞きしていた同志社女子が現る。

同志社「同女…」
三重「そうですよ!」
静岡「ICUさんとは終戦を誓い合った仲だと聞きてますわ」
名工「俺らも、協力するから、ICUさんを助けにいこうぜ!」
同志社「みなさん…」
同女「ほら、行きましょ。ICUさんを助けに」

同志社・同女と東海国立が外にでると、突然、激しく大気が震え出した。

グオオオオオオオオオオオオオオオオ…

同志社「みんな、大丈夫か!?」
同女「ええ…、私は大丈夫」
静岡「私たちも無事です」
同志社「今のは一体…」
愛教「ICUさんの身に何かあったのかも…」
三重「急ぎましょう!」



〜こぉひぃぶれいく〜
――そのころ千葉大
千葉大「・・・・チッ、しけてんなぁ!」

自販機のおつり返却口を探っていた・・・


――そのころ筑波大
筑波大「・・・・チッ、しけてんなぁ!」

強風で海上が荒れている中、土浦港で海洋実験を行おうとしていた・・・



――ある日の千葉大
千葉大「おっ!ラッキー!!今朝の朝刊めっけ!!」

総武線の車内で網棚の上に小さな幸せを感じていた・・・



〜吸収〜
ICUの周囲の大気が激しく震える。
慶應「一体何が起こるんだ…?」
早稲田「ハッタリに決まってる…よな?」
立教「うう…」
青学「く…ぐゥ…あぐ…」
明治「おい、どうしたよ?」
慶應「どうした?」
明治「二人が急に苦しみだして…」
慶應「大丈夫か?戦闘と行軍が続いたからな…その影響だろう」
立教&青学「うわああああああああああああああああああああ!!!!!」

バシュウウウウウ…

立教と青学はICUに吸い込まれてしまった。呆然となる早慶軍。
早稲田「え………?」
中央「吸収された…」
その後も続々と早慶軍の大学が吸い込まれていく。

ICU「神に仕える子羊達よ、我が血となり肉となれ!」

ICUのもとへ向かう同志社にも異変は起きていた。
同志社「うううう…!」
同女「ああああ…!」
静岡「どうしたのです!」
同志社「分かったぞICU…お前の力、“あの言葉”は…このためのもの!!」
三重「え?」
同志社「同女…共に行こう。これが定めだったのかも…しれ…」
同女「ええ…あなたと一緒なら…」
同志社と同女もICUに取り込まれてしまった。

ICU「ああ…同志社。だから使いたくなかったのだよ…。親友と呼べたのは君だけだったから…」
ICUは涙を流しつつ、語った。

〜完成〜
北海道―――――
上智「寒い…もう春なのに…」
その時、上智を強烈な力が引き寄せる。
上智「な、何だ!やめろ!うわああああああああああああ!!」
やがて、上智もICUの一部と化した。

京都―――――
京大「あれがICUの真の力か…何ともエゲツないな」
阪大「自分がミッション系だったと思うとゾッとするよ…」
立命館「あの野郎…よくも同志社を…!」

東大達にも異変は起こっていた。
名大「南山の奴、いきなり飛んでったぞ?」
神戸「あんな技持ってたんですかね」
東大「いや…何か強い力に引っ張られていくような印象を受けたぞ…」
高医「急ぎましょう!」

多くの大学を吸収したICUにも異変が起き始めた。
ICU「モウ終ワリダ…全テナ…」
早稲田「終わりだと、ふざけんな!」
ICU「七武神ヲモ超エタ、私ノ姿ヲトクト見ヨ!!」
慶應「恐ろしい程のパワーだ…!」

グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

大地が揺れ、大気が震え、雷鳴が響く。そして、ICUが変身を遂げる。
巨大で、不気味で、それでいて神々しい…ICUは最強の大学へと変貌を果たしたのだ。
ICU「父さん、母さん。こんなに素晴らしい力をどうもありがとう。
    唯一の親友だった同志社も私の一部となったし、もう寂しくないです………」

〜意味不明〜
京大軍基地―――――
京大「こ、こいつは凄い!スタンフォードの兵器も真っ青、最強の兵器だ!!」
阪大「これ程とは…(京大が余裕だったのもうなずける…)」
立命館「ふざけやがって…!」
立命館は司令室を出た。

ICU「せっかくだ。準備体操ついでに…」

ブオン!!

ICUが早慶軍をなぎはらった。それだけで十数校が廃校になった。
ICU「ああ…また多くの命が消えた…」
早稲田(自分で消しといて何言ってやがる!)

静岡「ICUさん、何を!」
三重「やめてください!」
愛教「虐殺はあなたの望むところでは無いはず!」
ICU「君達…少し黙っていてくれ」

ドカァッ!

ICUは極力手加減したつもりだったが、三校は虫の息になった。
ICU「君達…もう少し体を鍛えようね…」
早稲田(何なんだこいつ…)
慶應(読めないぞ…こいつの行動…!)

   『ICU!何をしている!!さっさと早慶共をぶち殺せ!!』

声の主は京大だった。ICUは頭をかきながら、けだるそうに答える。
ICU「神は下々の願いを汲むものだし…そうしましょうか…」

〜〜
ICU「…とでも言うと思いましたか?」

音もせずに閃光が京大軍に向かって迸る!

ブィーッン!

その一撃で、京大軍内部に待機していた大学の内十数校が廃校となった。

京大『な、何をするICU! 気でも狂ったか!』

ICU「これ以上の被害を出したくなければ、すこし、黙っていただけます?」
ICU「そうそう、ここにいるみなさんもよけいなことをしないでくださいね」
慶応(こ、こいつは強すぎる…、ケタが違う)
静岡(ICUさん、どうして……)

ICU「ああ、同志社、見ていてくれ。私の雄姿を…」

恍惚とした笑みをICUはその顔に浮かべていた…

〜予定表〜
ICU「さて、始めましょうか…」

この言葉に場にいる全員に緊張が走る。
(何をだ…?) (いったい?) (怖い…) (何を企んでやがる!) (誰か…)
(あいつ狂ってるぜ) (始めるだと?) (強すぎる…) (はぁ…) (来るなら来やがれ!)
(全員殺すつもりか?) (あれICU?) (ひぃ) (母ちゃん…) (次は俺か…?)

ICU「私はね、平和を目指すつもりです」
全員「………」
ICU「ですから、皆には私の言う通りにしてもらいます…」

ざわ… ざわ… がや… がや… わい… わい… ごにょ… ごにょ…

慶應「そ、それは支配という事か?」
ICU「勘違いしないでもらいたい。これから私が全ての大学の予定表を作ります。
    これからずっと、それに従って行動すれば良いのです」
早稲田「どんな予定表だ!?」
ICU「朝起きる時間、起きた時のセリフ、あくびの数、朝食のメニュー、ご飯を噛む回数、洗顔の時間、洗顔時の水量、
    玄関を出るまでの歩数、ドアを開ける時の力具合………他にも色々ありますね」
京大「それを全部守れだと!?しかも毎日!」
阪大「ふざけるな!」
ICU「あなた方は自分達で自分達を管理できない…。これくらい当然でしょう」

「ふざけんな!」 「バカにしてんのか!」 「あくびの回数…」 「何様だよ!」 「やめろやめろ!」
「おかしいんじゃねぇの?」 「マジかよ…」 「くたばれ!」 「みんな戦おうぜ!」 「消えろ!」

ICU「どうやら主旨が出来ていないようだ…。出来ないのなら…」
その一言で静まる大学達。
ICU「結構です…。ではテスト的に実施してみましょうか。日大、何か踊ってみせよ」

〜真の平和〜
日大「(俺かよ…)じゃあ、フラダンスを…」
数分後、日大は拙いながらもダンスを踊り切った。

ドゴォッ!!

日大「ぐばはァァッ!」
ICU「あれのどこが踊りだ…では明治、聖歌を唄ってみせよ」
明治「う、唄った事ないし…歌詞も知らな」

ガゴォッ!!

明治「げぶばッ!」
ICU「やれやれ…先が思いやられる…」
あっけなく瀕死となった日大と明治。ICUは更に何かを考えている。
ICU「…もう今日は帰って良い。最初の予定表だ。各自、これを守るように」
ICUがその場にいる全大学に紙を配る。内容は各々違うが、次のような内容が書かれていた。

「家まで1000歩で帰れ」 「時速5キロを保ちつつ、家に帰れ」 「阿波踊りをしながら帰宅せよ」
「他の大学を背負いながら帰宅」 「眠りながら走れ」 「家まで2587歩で帰れ」 「競歩で家へ」
「全速力で自宅へ向かへ」 「帰宅禁止」 「右足を地につけずに帰宅」 「泣きながら家を目指せ」

全員「………」
ICU「では、帰宅したまえ。破ったものには“天罰”を与える」
京大「貴様…ふざけるなよ!」
ICU「先刻の君の言葉をお返ししよう。君達に出来るのは“従順”だけだ、違うかい?」
京大「うぐぐ…!」
ICU「そう、これが私と同志社の求めた“平和”だったのだ…」

その瞬間、立命館が基地から飛び出してきた。
立命館「ICUゥゥゥゥ!!お前だけはこの俺が倒す!」



〜脱出劇〜
人工衛星“MITサテライト”―――――
法政「残り1分ですね…」
電通「そうだね。ミサイルはここで暴発し、この衛星は消滅する…」
お茶の水「…良かったじゃない!日本は救えたんだから!」
法政「うん、そうだ!MITも倒したし、満足ですよ!」
電通「すまない…」

そこへ駆け込んでくる九大。
九大「三人共生きてたか!MITは?」
法政「俺が倒しました。宇宙へ吹っ飛ばしてやりましたよ」
電通「でも、ここで終わりです…」
九大「何言ってるんだ!CITが脱出ポットを用意してくれているんだよ!」
電通「え…」
お茶の水「な…」
法政「何ィィィィィ!!」

法政達は急いで脱出ポットへ向かう。
CIT「来たか…」
東北「早くしろ!」
九大「おお!乗り込め、狭いけど我慢だ!」
電通「よいしょ(なぜCITが…?)」
お茶の水「狭いわね!法政、アンタは降りなさい!!」
法政「俺だって死にたくはない」
電通(さっきの死を覚悟した台詞はどこへやら…)

ミサイル発射5秒前、脱出ポットはギリギリで出発した。
背後では、MITサテライトが音もなく消滅した。MITの野望はここに完全に潰えたのだ。

CIT「爆発の影響で、操縦が効かない…。どこへ着陸するか分からないぞ」

〜流星〜
脱出ポットはCITの手操縦で何とか日本へ向かっていた。
CIT「これが限界だ、あとは全てを天に任せるのみだ」

「どけ!」 「何するのよ!」 「狭いんだよ!」 「バカ!」 「私は旧帝だぞ!」
「東北軍は無事だろうか…いてッ!」 「苦しい…」 「尻を触るな!」 「どいてよ!」

電通「悪いね、みんなうるさくて」
CIT「かまわんさ」
電通「でも、敵のはずなのに何故拙者達を…?」
CIT「私も最初はMITと同じ考えだった。日本は滅ぼしたほうが良いとな…
    日本の大学は下らない事に縛られすぎだ。それが世界に広がっては困ると思っていた。
    だが、現実は違った。日本の大学も受験生も、捨てたものでは無いと知った。
    まぁ、こんな感じだ…」
電通「本当にそれだけ…?」
CIT「………」

脱出ポットは幸か不幸か、とある所へ向かっていた。そう決戦の地、京都へ…
そして、地球には流星が降り注ぐ。
これは実はMITサテライトの残骸なのだが、最後の最後、MITは皮肉にも日本に希望をもたらしたのだ。


千葉大「女の子にモテますように!女の子にモテますように!女の子にモテますように!
    よっしゃ三回!希望ができたぜ!!」

筑波「何だ?この流星群は…。これは調査のしがいがありそうだな…
   もしかすると、新たなる学問の進歩に繋がるかもしれん。希望が湧いてきたぞ!」



〜〜
神大「あ、あれは一体、、」
東大「誰であれ、あれが元凶なのやもしれん」
名大「ついに戦争が終る時だな」
高医「気を引き締めていくぞ!!」
4大学<おおおおおおおお>

神医「あれが、、ICUだとういうのか!!!??」
北大「信じる他あるまい」
京医「そして、戦わざるを得ない!!!!」
神医「いくぞっ!!(東医歯、、見守っていてくれ)」


ICUに向かって逝ったものの、そのまま逝ってしまった立命館、、

京大「(立命館までも、、くそっ、、このままでは私の計画も、、)」
京大「おい、阪大よ」
阪大「何ですか?」
   ドスッ!!(重い音とともに、阪大は倒れた)
京大(悪く思うなよ、、)
京大「ICU!!大変だ!!阪大が倒れた!!」
ICU「なんだと?」
京大「疲れのせいかもしれない、私が肩を貸して医療室まで」
ICU「仕方ありませんね、そうして下さい」
京大(よし。上手くいった、このまま逃げて体制を練り直すしかないな、、)

3つの大学たちの思いが交錯する中、昼だというのに空には流星群が輝いていた、、


           役者は揃った!!??