法政の逆襲18〜ロケットチェイス〜

ロケット内―――――
MIT「ここまで手こずるとは…。しかし、このMITシャトルまでは追ってはこれまい!」
CIT「………」

ロケット外・ペットボトルロケット―――――
法政(まさか、ロケットチェイスをする事になるとは…)
九大「よし、奴らのロケットに飛び移るぞ!」
東北「OK!」
お茶の水「私こう見えても、運動は得意なのよね」
電通「拙者は苦手かな。機械には強いけどね」
法政「すごい高さ…やり損なったら死にますね、こりゃ…」

ガタッ ガタッ ガタタッ ドカッ ガシッ

MIT「何だ?今の音は?外か?」
CIT「奴らがロケットにしがみついたようだな」
MIT「しつこい奴らだ…。だが、扉は閉まっている…このまま大気圏外へ出てお陀仏だ」
CIT(日本の大学達よ…これが最後だ!)
CITはボタンを押し、ロケットの扉を開けた。

九大「うおおおお!あっあそこの扉が開いたぞ!!」
お茶の水「は、入るわよ!」
東北「凄いスピード…目が開けれない…」
電通「こ、根性〜〜〜〜!」
法政(東大さん、見てますか!俺は今飛んでます!!)

五人は扉から何とかロケット内へ入る。その直後、再び扉が閉まる。
MIT「何の真似だ?CIT…」
CIT「あの五人には私もムカついていてね。この手で直接殺したくなった」
MIT「そういうことか…。だが、一人でやってくれ。私は少し休む」
CIT「ああ…分かった…」

人工衛星の戦い〜
法政「死ぬかと思いましたよ…」
東北「強運とは、まさにこの事だな。勝手に扉が開くとは…」
お茶の水「とんだ欠陥ロケットね!!」
九大「この五人で七武神二人を倒さねばならない。はっきり言って、楽観はできんぞ」
電通「勝ちましょうよ。ここまできたら、ね」

MIT特製ロケット“MITシャトル”は瞬く間に大気圏外の人工衛星に到着した。
MIT「着いたか…よし降りよう」
CIT「うむ」
MIT「あのゴミ共の死に場所はここだ!さっさと殺して来い」

ロケットの全ての扉が開く。
九大「出ろって事だな…」
東北「空気も重力もあるみたいだな」
お茶の水「私、宇宙旅行って初めてなのよね〜」
法政(ホント初めてづくしだよ、今回の戦いは)
電通「こ、これは…!」

ロケットを出た五人の目の前に広がる風景…まるで機械で造られた大地であった。
東北「月もハイカラになったものだ」
電通「これは人工衛星ですよ」
東北「人工衛星!?こんな…巨大な…」
CIT「ここはMITの人工衛星“MITサテライト”」
お茶の水「出たわね。前橋工科大学!!」
法政(違うって…)
CIT「日本を破壊するMITミサイル発射まではあと15分。その前に私を倒せなければ、アウトだ」
九大「じ、15分…!」
東北(短すぎる!…というか勝てるかも怪しい…)
法政(“地球は青かった”と言いたいが、言ったら怒られるだろうな…)

とうとう舞台は宇宙。タイムリミットは15分!

〜CITボクシング〜
CITが静かに口を開く。
CIT「派手な技でヘタにミサイル発射装置を刺激しても危険だ。素手でやらせてもらおう」
九大「上等だ!」
九大がCITに殴りかかる。が、CITにかわされ、逆にジャブの連打を喰らってしまった。

シュパパパパパパッ

音は軽いが、九大にジャブ一発一発が重く響く。
九大「ぐは…!(あ、頭がクラクラしやがる…)」
法政「あんなジャブで、あの九大さんが…!」
東北「全員でかかるんだ!!」

全員でかかるも、CITのボクシングによって、次々に返り討ちにあう法政達。
東北「くそッ!」
電通「ぐぐぐ…拙者どうも格闘は苦手で…」
お茶の水「うう…女を殴るなんて…最低の男ね!!」
法政「歯が一本折れた…」
CIT「残り13分」
九大「九州男児をなめるなよ!!」

ボゴッ!!

九大は果敢に攻めるも、CITの放ったボディブローが九大の腹にヒットする。
九大「ゲボォッ!ぐは…」
東北「無理するな!お前はMITにやられた傷が…」
九大「東北…ちょっと話がある」
東北「何だ?」
九大「このままじゃ絶対間に合わない。ここは旧帝の意地を見せてやろうじゃねえか」
東北「…偶然だな。私もお前と同じ事を考えていた」
九大「地方は違えど、やはり旧帝だな。それじゃやるぞ!」
CIT「内緒話もいいが、残りは11分だぞ。もっと攻めたほうがいいと思うがな…」

〜旧帝の意地〜
九大が不敵に話しかける。
九大「CIT、お前卑怯だな。お前を倒す以外にミサイルを止める方法はあるというのに」
CIT「あるとは思えないが…」
東北「お前を無視してここを通過する…ってのはどうよ?」
CIT「少しは見込みがあると思えば…私がすんなり通すと思うか?」
九大&東北「こういう事だ!!」

ガシィィッ!

九大と東北大は二人がかりでCITを押さえにかかる。
CIT「クッ…!」
九大「お前は重火器系の必殺技が使えないからな、そう簡単に引きはがす事は出来ないはずだ!」
東北「おい、法政達!早くMITの所へ行け!」
法政「わ、分かりました!」
電通「急ごう!もう10分くらいしかないよ!」

CIT「うおおおおおおおお!!」
九大と東北大を力任せに振りほどくCIT。
九大「ここからが本番だ!」
東北「我々二人でどこまで七武神相手に持つか…怖いような、試したいような…」
CIT「………」

一方、MITのいるミサイル発射装置へと急ぐ法政達。
法政「三人でMITを倒すんですか…厳しいなぁ…」
電通「まあね…」
お茶の水「自信ないわ…」
電通「法政、お茶の水。少しいいかな…?」
法政「何ですか?」
電通「最悪の場合、拙者は“非常手段”を取らざるを得ない。それについて話す…」

〜神〜
電通は“非常手段”について話した。
電通「…どうだね?」
法政「いいんじゃないでしょうか。俺は賛成です」
お茶の水「私も賛成よ」
電通「ありがとう…じゃあ急ごう!もう10分を切った!」

ミサイル発射装置―――――
MITは地球を眺めながら呟く。
MIT「クックック…いよいよ日本を消すときが来たか…。
    これにより、私の武力をアピールし、全世界に私の名前を知らしめる!!
    そして、他の七武神を私がリードする!!ここから…ここからだ!!」

そこへ、法政達が到着する。
法政「つ、着いた…」
MIT「なぜ貴様らがここに…!」
電通「まぁ裏技を使ってね」
MIT「CITめ…役立たずが…!」
お茶の水「ったく、日本を消滅させて何をしたいのよ、アンタ!」
MIT「クックック…」
電通(笑ってる…?)
MIT「日本消滅など、私にとって通過点に過ぎん。私が世界一の大学になるためのな」
法政「は?」
MIT「あんな島国、私にとっては“道具”だな。せいぜい踏み台といったところだ」
お茶の水「でも、日本を選んだ理由があるでしょ!!」
MIT「きっかけがあったからだろう。理科大から“我々に力添えを”と頼まれてな。
    だから私は条件を出した“私の好きにさせてもらう”とな…。
    まさか、私が日本を消滅させるとは思ってなかったようだがな!クックック…」
法政「最低だな。神でも何でもないよアンタ」
MIT「だが、私は現に七武神だ…。もっとも、私が唯一神となる日も近い!!
    世界中の大学という大学を支配し!私が永遠に神として君臨するのだァ!!!!」
ミサイル発射まであと8分。

〜真の力〜
時間を少しさかのぼって、CITと旧帝二人。
CIT「これは思いつかなかった。だが、あの三人でMITを止められるとでも?」
東北「そんな事は知らん。だが、これが最善の方法のはずだ」
CIT「では君達を倒し、あの三人を追うとしようか。立場が逆転してしまったが」
九大「(APU、西南学院、部下達…)俺の命は俺だけの命じゃない。簡単にやられてたまるか!)
東北&九大「“地帝圏”!!!!!」

ズゴゴゴゴゴ………

CIT「な、何だと!一瞬にして偏差値が大幅にアップした…」
九大「更に、“九州パワー賃借”!!」
東北「同じく、“東北パワー賃借”!!」
旧帝は自分の統治する地方の力を借りることができるのである。
CIT「これほどの力を隠していたとは…」
東北「基本的に自分の実力ではないから、あまりこういう技は使いたくないが、そんな事を言ってる場合では無いのでな!」
CIT「久々に血がうずく…」
九大「も一度行くぜ!!」

ドゴォッ!!

CIT「ぐふ…(先程とはまるで違う…)面白い、こちらもだ!!」

バキィッ!!

九大「ぐわっ!」
東北「おりゃあああああ!!!!」

ボスゥッ!!

CIT「なんのこれしき!!」
二対一の壮絶な殴り合いが始まった。轟音と共に、肉が踊り、血が飛び、骨がきしむ。
何の駆け引きもない粗雑な戦いだ。しかし、これは紛れもなく“世界最高レベル”の激闘なのである。



〜嘆願〜
京大軍基地―――――
立命館「もう早慶軍が肉眼で確認できます」
京大「そうか…ICU、出番だぞ」
ICU「分かった…」
同志社「顔色が随分悪いが…?」
ICU「………」
同志社「悩みがあるなら言ってみろ。もう会話をできる最後のチャンスかもしれない」
ICU「やめないか…戦争を…」
立命館「あ、ICU?」
ICU「色々考えたんだ。やはり戦争は何も生まない。早慶軍も医大連も狙いはここだ。京大軍が白旗を上げれば…」

ガシィッ! ドカッ!!

京大がICUの胸ぐらを掴み、壁に叩きつける。
ICU「グハッ…」
京大「随分腑抜けてしまったようだ。お前のその力は何の為にある?
   平和のためか?違う…“敵の殲滅”のためだけだ…。もっと言うならば、お前の存在価値が“それ”だ」
ICU「何だと…!」
京大「例えば、予備校は何のためにある?“受験生を大学に合格させる”ためだ。
   受験生は何のためにいる?“我々大学の生存”のためだ…。そして、お前は…」
ICU「それ以上言うな!“あの言葉”をここで使うぞ!!」
京大「無理だな。お前のその軽薄な精神では無理だよ、ICU。
   この期に及んで“平和”を叫び、己の力を使う時機ですら見失っているようではな…
   まして、ここには貴様の友人、同志社もいる。そんな脅しは通用せんよ」
ICU「うう…」
京大「お前は自分が何ができると勘違いしているようだが、何もできんよ。
   私の言いなりになってすれば良い。お前にできる事はただ一つ“従順”だけだ」
ICU「あああ…」
同志社「やめて下さい!ただでさえ、精神的に参っているところを!!」
京大「戦争中に精神を病むとは、甘い話だな。分かったら、ICU。さっさと奴らを迎えて来い!!!!」
ICU「………」
ICUは抜け殻になったように、部屋を出て行った。

〜つぶやき〜
早慶軍を追う東大達もようやく入京した。
高医「京都までに追い付きたかったが…」
名大「こうなったら、強引に戦争を止めるしかねぇな!!」
神戸「まだ戦闘が始まった様子はありません。希望は捨てずにいきましょう!」
東大「そうだな…これまでの努力が水泡に帰すことが無いようにせねば!」

早慶軍は間近の京大軍基地を見て、より高揚していた。
早稲田「やっとだぜ!」
慶應「あれが京大の本拠か…」
和光「早稲田様、京大軍基地から誰か出てきます!」

目が虚ろなICUが早慶軍に立ちはだかる。明治が話しかける。
明治「ICUさん、どうしたんですか!こんなところで!!」
ICU「………」
中央「聞いてますか?」
ICU「………」
青学「お久しぶりです」
ICU「………」
立教「何かおっしゃって下さい!」

その瞬間、ICUがぼそりと何かを呟いた。

日大「今、何か言いましたよね…?」
神大「聞こえなかった…」
武蔵「俺は聞こえた。確か―――――」
突然、激しく大気が震え出す。

ズオオオオオオオオオオオオオオオオ…
ドオオオオオオオオオオオオオオオオ…
グオオオオオオオオオオオオオオオオ…

京大「始まったか…」



疲労
人工衛星"MITサテライト"―――――
MIT「"MITキャノン"!!」

ドゴォォォォォン!!!!

お茶の水「キャアアアア!!」
法政「ひぃぃぃぃ!!」
MIT「私の野望を妨げる奴は全てゴミだ!ゴミは私の世界には不要!」
電通「ゼェゼェ…ミサイル発射装置に当たったらどうするんだよ!」
MIT「当たらんよ。私の計算力は世界一でね…私の行動は全て精密かつ的確である」
法政(どこがだよ…)
MIT「"MITキャノン連射"!!」

ドゴン! ドゴン! ドゴン! ドゴン! ドゴン! ドゴン!

法政(うへぇ…相変わらず、洒落にならない威力だけど…明らかに威力は落ちてる!)
電通「法政、君も気づいたかい?」
法政「ええ…」
電通「攻めよう!勝機はある!」
お茶の水「ちょっと何なのよ!!なに二人だけで分かり合ってんのよ!!」

法政「"ボアソナードチョップ"!!」
電通「"下敷きこすって静電気"!!」
お茶の水「もうどうでもいいわ!"十六茶ならぬ重力茶"!!」

ズドーン! バガーン! バゴーン!

MIT「うぎゃあああああ!!」
法政「明らかに効いてるぞ!」
電通「彼にもスタミナは限界があったようだね…」
お茶の水「ホホホ、ざまぁみろだわ!!」
MIT「くく…この屈辱…許せぬ、許せぬゥゥゥゥ!!!!」

〜バリア〜
打って変わって、MITを圧倒する法政達三人。
MIT「ガギギ…何故だ、ゴミ共にここまで…!」
法政「こりゃ勝てますよ!」
お茶の水「形勢逆転ね!」
電通「数々の兵器製作に大学殺戮…。MITのスタミナはもう限界だろう…」
MIT「クッ…まさか、この技を使うハメになるとは…」
法政(まだ何か隠してたのかよ…)
MIT「"MITバリア"!!」

MITと法政達の間に薄透明な壁が出来た。

MIT「このバリアは全ての物理攻撃を遮断する!ミサイル発射はあと5分…貴様らの負けだ!」
お茶の水「こんな壁が何だってのよ!」

バリバリバリ!!

バリアに体当たりしたお茶の水に電撃が走る。
お茶の水「キャアアア!」
MIT「こちらもそっちに手を出せないが…時間稼ぎには最適の技だ!クックック…」
法政「ここまで来てそんな…!」
電通「あと4分を切った…」
MIT「無駄な努力をご苦労さん。さて、日本の最期を眺めましょうか」
法政(寝転びやがった…くそ!)
お茶の水「男らしく戦いなさいよ!!キィ〜〜〜!!」

残り3分…
電通「やはり、あれしかないか…」

〜非常手段〜
電通「ピピピ…ピピピ…」
MIT「電波攻撃か?確かにバリアは通り抜けるが、私を倒すのは無理だな…」
電通「法政、お茶の水…。すまない!!」
法政「いつでもいいですよ!」
お茶の水「アイツの思い通りになるよりマシだわ!」
電通「"破壊電波"!!!!!」

しばしの沈黙が流れる。
MIT「今のが切り札だったようだが、不発だったな。フハハハハハハハハ…!!」
電通「破壊したのはキミの後ろのその装置だよ」
MIT「なにッ!?」

ミサイル発射装置を見ると、各計器や画面が支離滅裂に動いている。
MIT「何をした!?貴様ァァァァァ!!」
電通「破壊したんだよ。その発射装置を…」
MIT「小癪な真似を…!あああ…何ということを…」

MITは慌てて装置を調べる。
MIT「完全に狂っている…このままでは暴発する…」
電通「すまない…」
法政「いいんですよ、あいつも道連れに出来て気分がいいですよ!」
お茶の水「まさか、宇宙で死ぬことになるとはね」
MIT「ふざけるな!!死んでたまるかァ!!」
電通「いかにキミでも、あと2分でそれを直すのは無理だ。おとなしく…」
MIT「この私の計画が…日本を消滅し…七武神の頂点になり…世界の頂点になり…
    神として君臨するはずだったのにィ!!こんな馬鹿げた下らん方法で?全てが崩れたと言うのかァ!!
    私は完璧だったのに…ロケット発射が遅れたのは東工大のせいだ…
    貴様らが生きてここへ来たのは理科大とCITのせいだ…
    そして、私の野望が砕け散ったのは………貴様らのせいだァァァァァァ!!!!!」
MITはバリアを解除し、襲いかかってきた。狙いは法政!

〜MITの最期〜
MIT「死ねェェェェェェェェェェ!!!!!」
法政「ここは退けない!」

MIT「最強の技で死ね!"MITゴッドフィールド"!!」
法政「こちらも!"市ヶ谷いとをかし"!!」


ズゴゴゴゴゴォォォォォォォォン!!!!!


MITは完全に力負けした。スタミナ不足か、法政の底力か…理由は定かではない。

MITは人工衛星の外へと吹き飛ぶ。
MIT「ゲハッァァァッ!俺はし、死にたくない―――――」

宇宙空間で生身のMITの体液は蒸発した。MITは文字通り、宇宙の藻屑と消えた…。
ミサイル発射まであと1分。それは同時にこの衛星の爆発を意味していた。