0383

母親がパンを作るのが好きで余った生地で小さなパンを作らせてもらった事があった。
その焼き上がったパン(バターロール)を見ていたら何故かすごく愛おしくなって、
ビニール袋に密封して肌身離さず持ち歩くようになった。
(ペットの猫や犬を可愛がるような心境だった。)

最後は風呂にまで持ち込んだんだが、さすがに風呂の湿気ではビニール袋の中のパンも
耐えられず最後はふやけてボロボロになってしまった。
見る影もなくなったパンを見て1人号泣した。

0384

学生のころマックでアルバイトしてたときの事。

わたしはドライブスルー担当で、その日は日曜。
次から次へとやってくる客の対応に追われ、目の回る忙しさだった。

あまりの忙しさにあせってしまって、
「いらっしゃいませコンニチハ。マイクに向かってご注文をどうぞ!」
って言うとこを、
「いらっしゃいませコンニチハ。マイクに向かってコンニチハ!!」

全身から汗がふきでたよ。
モニターの向こうのドライバーも、
「こ、こんにちは…」 とか言ってるし…

0385

なぜか知らないが、高校のそばのコンビニでりかちゃん人形を売っていた。

ポーカーで勝った俺たちは先にコンビニに入って待機。そこに負けた奴が入ってくる。
奴はりかちゃん人形とティッシュペーパーをチョイス。そしてそれだけで堂々と店員に出す。
平然と処理をしようとしている店員に向かって一言
「暖めてください」。

そのときの店員(男)の「ぶぼっ」っていう笑いを俺たちは忘れない。

0386

昔、友達から聞いた話だが
とある田舎に老人ホームがあった、それはのんびりしたもので、近所のじいさんばあさんが
なんとなしにあつまって、日がな過ごしているようなものだった。
ところがある日、じいさんばあさんが集まってゲートボールをしていると
そこに体重70kgほどのオスのイノシシが暴れこんできた。
審判をしていたホームの人はパニックになってたったまま泣き出したが、
おじいさん達は、ゲートボールのスティックを握ると、70歳以上とは思えない動きで
イノシシの動きをさえぎり、イノシシをグランドの隅に追い込んでいく。
さらにいつの間にやら、おばあさん達は料理室からなべを持ち出し、そろえてじゃんじゃん鳴らす。
追い払うのかと思ったら、みんなしてグランドの隅の方に追い込んでいく。
普段車椅子の人が、車椅子バレーのネットをいつのまにか持ち出して投網代わりにしている
あっという間に、バレーのネットが網代わりになりイノシシの動きを封じ込める。
「それが車椅子の人の動きか」と思うぐらいの見事さ、パラリンピック出場可能
網にかかって倒れこんだイノシシを、おじいさんたちが交代でゲートボールのスティックで殴る。
普段ベットで寝ているおじいさん達が、元気に駆けつけて殴り役を交代する。
警察が機動隊装備を持って駆けつけてきたときには、すでにイノシシは息絶えていたので、
とりあえず事情聴取。
と思っていると、警察官2人は、おじいさんたちの自慢話を聞かされるはめに
警察官が気づいたときには、おばあさん達イノシシを解体している。
慌てて止めようとする警察官に、おばあさん達「おまわりさんの分もあるでよ」
「おすそ分けじゃ、もって帰るか、汁にして食べていくか。」狩猟法どうたらは言い出せず
「老人ホームにイノシシ乱入」ということでさらに機動隊員6人登場
おじいさんたちに、「そんなもん着とったらイノシシ倒せん」と笑われて警察官退場
結局、その老人ホームのイノシシ鍋になってしまったそうな。

まあ、イノシシは70歳以上のおじいさん16人程度の強さてことだ。
ちなみにその際、警察の要請で救急ヘリが万一に備えて出動待機に入っていたのだが
この結論をきいてあきれていた。

0387

 何年か前、私はスキンヘッドに憧れていたが、女なので簡単に剃り上げるわけにも行かず
悶々としていた。
ふと、小学校の頃、ちぎった新聞を水溶き糊にひたし、風船に貼って、張子を作ったのを
思い出した。
 これでカツラが作れるのではないか、と急にワクワクした私は、善は急げとばかりに
文房具屋で糊と風船と半紙(新聞の後、半紙で表面を仕上げる)と絵具を買った。
鏡を見ながら頭と同じくらいの大きさまで風船を膨らまし、ちぎった新聞をペタリペタリと
風船に貼った。
 一層目ではまだまだだった風船カツラが、層を重ねるごとに本格的になり、しっかりとして
ある程度の加工に耐えられるレベルになった頃、いよいよだな、と半紙を貼って仕上げに
入った。ここまでに半月かかった。
 十分乾燥させ、頭の形を想定しながら張子をカットし、絵具で自分の肌の色を観察しな
がら色を作り、最後にニスを塗ってテカテカにした。

 完成品をかぶってみたら、多少いびつなでこぼこはあるものの、かなり本気くさい
スキン ヘッドが鏡の向こうからこちらを見ていた。
 あんまりうれしくて、写真を何枚も撮り、カツラも捨てるのが惜しくて大事に取って
おいた。
 結婚して5年。子供が忘れたはずのカツラをかぶっていた。ぶかぶかだった。
慌てて自分の部屋へ行くと、夫がカツラの内部に保管していた写真を見て爆笑していた。
 そのまま飛び出して3時間ほど近所の河原を放浪していたら、血相を変えた父親に発見
され、家に連れ戻された。
 玄関でくしゃくしゃな泣き顔の夫が「ごめん、本当にごめん」と謝っていて、
蒼白な顔の私の両親が「何があったかしらんが、とにかく話し合いなさい」と言った。
カツラにまつわる過去の全てが恥ずかしくて飛び出したのに、さらに大事に発展してて
全ての事情を説明するのも、その場に存在するのも恥ずかしくて死にそうだった。