0364 - ZEROの法則;法則7

いつもは絶対誘いに乗ってこない女をデートに誘って見事に成功したとき、
前日に確認の電話を入れると、「やっぱり用事が入っちゃって……」と断られる。

シチュエーション


 28歳の男(会社員)と、同じ会社のOL(23歳)。男は、女を3カ月ぐらい前から好意を寄せていて、何度かデートに誘ったものの、芳しい返事はなかった。断られる理由は大抵の場合、「忙しい」である。だが、ある日、昼休みになんとなしに「今度海の方へドライブ行ってみないか?」と誘ったら、2分ぐらい、いろいろ言われた挙げ句「いいですよ」という返事。
 そしてドライブの前日、男は時間の確認のために嬉々として電話をかけた……。


男:「あ、もしもし、斉藤ですけど、美奈さんいらっしゃいますか?」
女:「あ、はい、わたしです」←なんとなしに、声が暗い
男:「あ、加藤さん? 斉藤です」←対照的に明るい
女:「はい」
男:「あのね、明日のことなんだけど」
女:「……あのー」
男:「え?」
女:「明日って、確かドライブに行く日でしたよね?」
男:「うん、そうだけど……」
女:「あのー、大変申し訳ないんですけど、急に用事が入っちゃって」
男:「え、用事?」
女:「母が身体を悪くして、私が病院に連れて行かないといけないんです」←大抵、理由は深刻
男:「ああ……それじゃあ無理だね……」
女:「せっかく誘っていただいたのに、ごめんなさい」
男:「いや、しょうがないよ。それじゃまた、会社で」
女:「はい、本当にすいません。それじゃ……」
男:「はい、さようなら」

 よくある例だ。女の子は、特に思い入れのない相手との約束は、かなりドタキャン率が高い。
 特に迷っている場合、男が上の例のように電話なんかしちゃった日には、必ず、「やっぱ行かない」という方向で話を進めていく。
 とは言え、上の例はまだいいのだ。ちゃんと相手に断りを入れる形になっている。問題は下に書いたパターンである。とりあえず読んでいただきたい。

男:「あ、もしもし、斉藤ですけど、美奈さんいらっしゃいますか?」
女:「あ、はい、わたしです」
男:「あ、加藤さん? 斉藤です」
女:「はい」
男:「なにやってたの?」←本題に入る前に軽く
女:「いやあ、新しいプロジェクトの準備を家でやってました」
男:「え、加藤さんの担当の仕事って、そんなに大変だったの?」
女:「もう資料整理をここでやっておかないと、残業の連続になっちゃうので家でしないと」
男:「随分、忙しいんだねー」←なんとなく明日のことを言いづらくなる(罠にはまっている)
女:「もう、めちゃくちゃ忙しいですよ。明日も大変だー」←とうとう、ここで突き放す
男:「あ……そうだね……」←(あれ? ドライブは?)と思うが、言い出せない状態
女:「明日は、まず図書館行って、帰ってからワープロ打って……」←畳み込む
男:「それじゃあ、ドライブなんて行けない……よね?……」←かるーく口に出してみる
女:「え、斉藤さん、ドライブ行くんですか? 余裕ですね」←約束なんてなかったことになっている
男:「いや、そんな余裕じゃないよ」
女:「……あ、ちょっと親が呼んでいるんで、すいませんけど……」
男:「あ、はいはい、それじゃまた」
女:「はい、会社で」←もう自宅に電話すんなよ、と遠回しに

 このパターンは本当に性悪だ。あえて、忘れているふりをして、忙しいを連発しながら、約束自体をなかったことにするという方法である。
 このパターンは、女の子からすると、結構迷って約束を受けてしまったわけであるが、後に友達から「え、あいつ? あいつはやめといた方がいいよー」と言われた、という場合に多い。
 女の子というのは、同性の友達に「あの男は嫌な奴だ」と吹き込まれると、特に嫌な目にあっていなくても、「嫌な奴だ」と見てしまうことが多い。そうして、今回のように完全にシャットアウトしてしまうわけである。