0363 - ZEROの法則;法則6

とてもフレンドリーな女に限って、男が告白しようとする直前、
「あたし、あなたの前だといろいろ話せるんだけど、好きな人の前では全然話せなくなるの」
などと言い始める

シチュエーション


 19歳の大学生と19歳の女子大生。二人は高校の同窓会で1年振りに再会し、彼女の方から積極的に友達になってきた。二人でしょっちゅう遊びに出掛け、男としては「これは気があるのか?」と思い、告白を考える。そして、彼女の誕生日、男は食事に誘い、そこで告白することに決めた……。


男:「中谷と俺って、なんか気が合うよね」
女:「うん、同窓会の時も、どうして高校の時、こんな楽しいやつをほっといたんだろう? とか思っちゃったもん(笑)」
男:「うん、俺もそう思った(笑)」
女:「……でもさぁ、こんなんでもほんとは気弱なやつなんだよ、あたし」←急にしおらしく
男:「はは、よく言うよ、どこが?」
女:「ん? いろいろ、あるの」←訳あり的な笑いをする
男:「え、いろいろって?」←男、女の態度が気になってくる
女:「なんか言いたいことも言えないっていうかさ……」←男の目を見て悪戯っぽく笑う
男:「え、言いたいことってどんなこと?」←俺に告白か? 脈拍数一気にアップ
女:「ねー、三田君から見ると、あたしってどう見える?」←両手に顎を乗せて言う
男:「え、どうって、……んー、楽しい奴。一緒にいてなごむ」
女:「えー、あたしといて心がなごむー?(笑)」
男:「うん、なんか安心するよ」←口説きに入ってきた
女:「……ありがと」←まず口元だけで笑い、そのあとにちょっとだけ前歯を見せて笑う

 そして、ちょっと間が出来て、男が思いきって告白しようと口を開いた瞬間…… 

女:「なんか、三田君の前だと素直にいろいろ言えるけど、好きな人の前だと言えなくなるんだよなぁ」

 男(心の中で) え?

 この後の展開をあえて書くなら、男が玉砕覚悟で女に告白した場合、

「わたし、三田君のことはいい人だと思うし、好きだよ」
 ↓
「でも、恋愛対象として見たことはないんだ」
 ↓
「三田君の気持ちに応えられなくて本当にごめんね」

 という、黄金のパターンへと流れ込む。
 好きな人の前では素直になれない、あなたの前だとなんでも言えるというのは、よく取れば「信頼」を表しているのだが、悪い(だけど正当な)解釈をすると、「あなたを異性としては見ていない」ということになる。
 男からすると、フレンドリーでさっぱりとした気質の女の子というのは、すぐに彼女に出来そうな、あるいは向こうから勝手に彼女になってくるような錯覚を覚えるものであるが、得てして、彼女たちの恋愛観は古風であり、好きな人以外に振り向くことはないというのが、特徴だ。
 そして、基本的に性格がいい子が多いので、片思いの男ともうまくいくことが多い。この手の女の子は好きになると、大概つらい思いをするので、個人的にはやめておいた方がいいように思う。