0351 - 短歌集1

何気なく木々をながめる授業中私はきっと刈られる枝ね

さよならが帰ろうになるその日まであとどれくらい必要ですか

泳ぎ出すプールの底のゆらめきは夢を悩みを映して消して

遠き日に交した約束覚えてる? 木洩れ日あたるスコップふたつ

放課後の静かになった教室で彼の机に触ってみた日

不確かな事だけずっと追いかけて確かなことさえ掴めずにいる

「あと5分」そうして遅刻をしてるから受験も恋も出遅れるのね

過去たちがひょっこりひょっこり顔出して心の傷を触りに来るよ

新宿の汚れた空と雑踏が今は心を温めてくれる

さよならのさみしさごまかすためだけにいっしょうけんめいはしゃぐ三月

ほんとうはカメはしっかり走れます裏返っても起き上がれます

本当に君に気づいてほしいのは髪型変えたことではなくて。

丸くなれ丸くなれよと祈りつつやっぱりわたしはギザギザナイフ

幼き日怖かったのは部屋の闇今怖いのは人の闇かな。

だめでもいい やってみたいのできるだけそれでもだめなら自分がわるい