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「先生、バナナはおやつに入りますか」
そもそも、この台詞は小学生が遠足のときにおやつの上限額の制約をすり抜けるために考え出されたささやかな抵抗である。すなわち、「バナナはおやつではないのでおやつの額には加算されない。よってより多くのおやつ的なものを楽しむことができる」という巧妙な戦術だ。
だが、巧妙に見えても子供は子供。決定権を教師側に預けると言う愚をおかしてしまっている。挙手をした小学生にわずかでも老獪さがあるのなら、こんなものは遠足当日、バナナを持ってきた上で「私はバナナはおやつではなく通常の食糧と判断したので持って来ました。何か御反論は?」
と言い放てばいいだけの話である。そこで教師が「それはおやつには入る」と主張したのなら、こちら側のおやつの概念との相違を事細かに指摘し、「価値観の相違」の泥沼的決着に落とし込む。この技術を応用すれば、ポッキーやせんべい、マシュマロやチョコレートいかなるものでも「おやつではない」と主張することができる。