0308 - 0307とバランスをとるために敬語の話
敬語
◎ 電車になさいますか。お車になさいますか。
○ 電車にしますか お車になさいますか。
△ 電車にしますか、お車になさいますか。
× 電車にしますか。 お車になさいますか。
×× 先生の荷物はオレたちがお運びします。
○ 母上に贈り物をあげる。
× ペットに食事をあげる。 ※「あげる」は謙譲語。
× 道草を召し上がる。
× 道草を食べる。(道草を食うという慣用表現を丁寧に言いたければ「寄り道」と言い換える)。
× 人を食べた言い方。(猟奇事件になる。「人を食った言い方」は慣用表現。言いかえが必要。)
「お」と「ご」の法則
「お」は言葉の響きをやさしくするので、和語につく。
cf. 「お心遣い」「お気持ち」「お酒」
「ご」は品格を高める働きをするので、漢語につく。
cf.「ご迷惑」「ご通帳」「ご心中」
外来(カタカナ)語には「お」をつけない。
cf.「×おビール」「×おコーヒー」「×おソース」
例外:「おトイレ」(本当は誤用だが、既に一般的。生きた言語はルールでは縛る事はできまい。)
短い言葉はよいが、長い言葉に敬語はつけない。(長い短いの基準は曖昧なところがある。ルールでは縛れない。)
cf.「○おいも」「○おじゃが」「×おじゃがいも」「○おさつ」「×おさつまいも」「○ごはん」「○おこめ」「○ご膳」「○ご定食」「×ご焼肉定食」
「お」で始まる言葉には「お」はつけない。「おみ」をつける。(言い方としては少し古い)
cf.「おみ扇」「おみ帯」(注:「おみくじ」は「お+神籤」。「お神酒(おみき)」は「お+神酒」)。
言い方として古いのでその言葉の前後を叮嚀な表現にする。
自然現象や公共物に「お」はつかない。
cf.「雷」「雨」「首相官邸」
例外:「おひさま」「おつきさま」(ただし幼児的に響く)
不幸や非難の言葉に「お」や「ご」はつけない。
cf. 「×お留年」「×ご落第」「×お左遷」
例外:「おバカさん」「おバカ」
その他留意すべきこと。
「ご苦労さま」は目上の人には使わない。(目上→目下に使う。「ご苦労」の叮嚀。「お疲れさま」を使おう。)
「すみません」は敬意の度合いが比較的低いので目上の人に用いるのは避ける。
「万障お繰り合わせの上」は「なんとしてでも来い」と言うのを叮嚀に言っているにすぎない。
日本語表現
意味の二重化
×あらかじめ予告する → 予告する
×広義の意味で言うと… → ○広義では
×かねてより懸案(けんあん)の… → ○懸案の
×古来から → ○古来、
×従来から → ○従来、
×いまの現状 → ○現状では、
×いまだ未解決の → ○未解決の
×あとで後悔する → ○後悔する
×配慮を払う → ○配慮する。