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仕事場に「工学部の先生と共同開発した新しいタイプの整理棚」を売り込みにセールスレディがやってきた。「・・・とこんなふうに便利なんですよ」と説明しようとするので、わしはこう言った。
 「確かにこういう棚があったら、便利でしょうけどね、それは普段から整理する習慣のついている人の場合でね。私みたいに普段から整理しない人にとっては、どんな文明の利器があっても無駄です。その証拠にほら、そこの本棚見てくださいな」
 そこには雑然と積み重ねられた本や書類の山であふれかえった本棚。そのセールスレディは眼を上下に走らせ、「うんうん」とうなづいた後で、静かにこう言った。

「ほんと、その通りですね」

 君、口にオブラートは標準装備されてないのか? セールスレディには不可欠なもんだぞ。

 まぁ、納得してさっさと帰ってくれたからいいんだけどさ。