0052
俺が小学校の三年生くらいのとき、オカンと行ったデパートでマジックショーをやってたんだ。
で、マジシャン曰く「じゃー、次にお客さんに手伝ってもらいましょー。どなたか〜…アナタ!!」
そこでなんと、うちのオカンが指名されてしまった。
オカン、ステージに上がったとたん、机の上に寝かせられて、何やら腹を覆う箱を乗せられていた。
マジシャン「今から、このご婦人の腹を切りま〜す」
俺「ええぇぇぇぇー!!!??」
ちょっと待て。おまい、俺のオカンに何すんだよ、腹を切る?そんなの俺を産んだときだけで充分なんだよゴルァ!
ヤバイまじヤヴァイ。オカンの胴体が今まさに切られようとしていた。
俺(オカ───ン!!)
そしてオカンの体は上下ふたつになった。
拍手する観客たち。
俺(おまいら、なに、歓声なんか上げちゃってんの? 俺のオカンだよ? もっと殺伐としてもいいはずだろが!!)
そのへんのやつらの胸ぐら掴んで、おまえは他人の母親は
なんだと思っているのか問いつめたい。問いつめたい。小一時間問いつめたい。
マジシャン「じゃ、戻しま〜す」
俺「( ゜д゜)ポカーン」
みるみるうちにオカンの胴体は元通りひとつになり、気恥ずかしそうに笑いながら立ち上がった。
マジシャン「腹は糊でくっつけてありますんで、今日はお風呂に入らないでくださいね。取れちゃうからね」
爆笑する観客たち。
オカン「ただいま〜」
そしてオカンは笑顔で戻ってきた。
その日の夜。
俺は風呂に入ろうとするオカンを必死で、そりゃもう必死で止めた。
オカン「だいじょうぶだよ〜。強力な糊みたいだし、しっかり止まってるよ〜」