0372 - ZEROの法則;法則15

「付き合っているわけでもないのに」と逆ギレされたら終わり

シチュエーション


 21歳の女性と23歳の男性。二人は同じ書店でバイトをしている。男は、忘年会の時に女の酔った仕草(可愛かった)を見て急速に気持ちを寄せ、さまざまなアプローチを試みた。そして、映画「タイタニック」を一緒に見た後、食事に誘い、そこで愛を告白。
 この告白は、女性の「あなたの気持ちはすごく嬉しい。あなたは仕事もすごく出来るし、尊敬している。でも、あたしは今、好きな人がいるから付き合えない」という、お決まりの一言で失敗に終わったが、「まだわかんないけど、友達から始めてみて、好きになれそうだったらあなたの気持ちを受け止められるかもしれない」という、これまたお決まりの言葉で将来の可能性に希望をつなぐ。
 そして一週間後。男はサンリオピューロランドに女を誘った。
 だが、結局、彼女は来ずに、待ちぼうけをくった男は女の携帯に電話をかけた……。


男:「もしもし、小松ですけど」
女:「えー? ちょっと、聞こえないんですけど」←周りで、男女の声が入り乱れている
男:「小松ですけど!」←大声で
女:「ああ、小松さんか。あのちょっと待ってて下さいね。……ちょっと、みんな静かにしてよ」

周囲の男A
「お、なになに男から!?」
周囲の男B
「おーい、みんな、男から電話だってよ! 静かにしようぜ!(笑)」

女:「ごめんなさい。今、ちょっと飲み会やってるからさ」
男:「(飲み会って、ピューロランドは? と思いつつ)あ、別にいいよ。ところで……あの、今日って……」
女:「えー? なになに?」
男:「今日ってさ!」←大声で
女:「あ、うん、『今日って』なに?」
男:「俺と約束してたじゃん。サンリオピューロランドへ行くって」
女:「えっ? ……あれって今日だっけ?」
男:「今日なんだよ」←ちょっと怒りながら
女:「あ、そっかぁ。ごめんねー。あたし来週だと思ってた」
男:「……来週なら行けるの?」
女:「あー……」
男:「ん?」
女:「来週、ちょっと忙しいんだよねー」
男:「じゃあ、最初から来週でも無理じゃん」←正論
女:「……うん。まあ、またそのうちってことで」
男:「そのうちっていつ?」
女:「んー……、今月と来月はあたし予定埋まっちゃってるから、まあ、再来月……あー、でも再来月もあたし旅行行くからなぁ……。ちょっとわかんない」
男:「再来月に旅行だからわかんないって、別に一カ月も旅行行くわけじゃないんだろ?」←正論
女:「確かにそうだけど、ほら、予定決まってないから、一応、ずっと開けておかないと」
男:「1日ぐらい、この日は大丈夫っていう日、あるだろ」
女:「えー? でも、ないんだもん。しょうがないじゃん。そんなにしつこく言われても困る」
男:「そういう言い方ってあんのかよ。人の約束平気で破っておいてさ」
女:「だから謝ってるじゃん。さっきから」
男:「そういう言い方で謝ってもしょうがねえだろ」
女:「ああ、はいはい、わかりました。今日は本当にすいませんでした。これでいいんでしょ」
男:「……」
女:「じゃあ、気が済んだ? それじゃ電話切るよ」
男:「ちょっと待てよ。まだ話ついてねーじゃん」
女:「話? なんの話? だいたいね、あたしたち付き合っているわけじゃないんだよ!?」←とうとう逆ギレ
男:「……」←圧倒
女:「いきなりそんな風に言われても、どうしようもないじゃん。なんで彼氏でもない小松さんに、そこまで言われないといけないわけ?」
男:「……いや、そこまでって、約束を破ったんだから……」
女:「ああ、もううるさい! あたし、小松さんみたいな理屈っぽい人、嫌いなの!」
男:「……」←唖然
女:「それじゃ、もう電話切ります。さようなら」

 ツーツーツーツーツーツー←電話切れた

 好きな男がいる女にとって、「恋愛感情を抱いていない男友達との約束」ほど軽いものはない。彼女との約束も、女友達との約束も、それぞれ大事にする男と違い、女は彼氏とただの男友達の約束に圧倒的な差をつける。よって、男友達との約束は、かなり平気でドタキャンしてくるケースが目立つ。
 まあ、こうなっても、共に恋愛感情を抱いていないのなら特に問題も起こらないが、男が女に恋愛感情を抱いている(告白した)関係で、約束の不履行が行われた場合は確実にもめ事が起こる。
 片想い中の男は力の入れ方が違うから、女を執拗に責める。
「なんで?」「どうして?」と。しかし、これは無理もないだろう。男からすれば、この日のためにした、うまい店の載っている本を見たり、インターネットでデートコースを調べたりという努力を無にされたわけだから。ところが女にしてみれば、これは「男が勝手にやったことで」「そんなことをあたしに押しつけられても困る」わけである。
 女性というのは、好きになった男だけが特別なのであり、恋愛感情のない男友達はとりあえず気が合うというだけで、無難に付き合っていこう程度の普遍的な存在だ(人によって、気が合わずとも『友達になることで自分のステータスを上げられる』『自分のプライドをくすぐってくれる【つまりアプローチしてくれる】』存在の男友達を置く人もいる。勿論この場合、女の言う友達関係とは【そう言っているだけ】程度で、つながりは薄い)そういう存在の人間から責められたり、命令口調されたりすれば、当然のように反発をする。その意識が今回の法則なのだ。